碧く透き通るペリトモレノ氷河の断面 [パタゴニア]
船からペリトモレノ氷河を見る続き。
船は氷河から300mほど離れた位置で、ゆっくりと進んだり、しばらくは停まってサービスしてくれる。
氷河は30mから60mの高さだというが、遠くからみているせいか、それほど大きくは感じない。
一日に2m、氷河は進む。
つまり、一日に、ほぼ2mの氷河が、湖に消えていく。
氷河は、湖にすっと、溶けていくのではなく、押し出されてゆがんでしまった先端が崩れる。
そのときに氷が割れる轟音が響き渡る。
氷が崩れて湖面に落下していく様子は、迫力がある。
60mの高さから巨大な氷の塊が湖面に落下していくのだから、近づくと危険だ。
雷が落ちたような轟音が響き渡ったので、そちらに目を向ける。
とっさにカメラを構えるが、氷は落下してしまっている。
瞬間をとらえるのはなかなか難しい。
氷河は、きれいなコバルトブルーばかりではなく、黒い大理石模様になっている部分もある。
氷河の底の土を削って巻き込んでいるのだ。
氷河の上部は、100年以上もの年月をかけて流されてきたために、周りとの流れの速度の差を吸収してゆがんでしまっている。
そのために鋭くとがっている。
それがまた美しい。
湖面から見上げている断面は、明日には、もう消えているはずだ。
なにしろ、1日に2mは消えていくのだ。
だから、この一瞬だけの風景だ。
氷河の断面の模様もブルーの大理石のようだ。
湖面には、崩れ落ちた氷が浮かんでいる。
顔を出しているのは、全体の数分の一だから崩れ落ちた氷は巨大なものだっただろう。
氷河の上部は光を透過してコバルトブルーに見える。
中でも特別に青くそびえている氷河は美しかった。
この一番青いところを拡大してみる。
このように見えている氷もあと1日の命も無い。
上の写真の上部右側の拡大。
異なる模様が、続く。
氷河の下部は、氷が圧縮されているので、ぎゅっと引き締まって、氷河の年輪が見える。
初めてみる氷河の細部に、ひととき、すべてを忘れて見入ってしまった。
ペリトモレノ氷河が湖の対岸に衝突している場所 [パタゴニア]
船からの氷河見学の続き。
氷河の左側は、氷河トレッキングの人たちが見えた(前々回記述)。
その氷河の左側も見る場所によって断崖絶壁の氷に見える。
さて、今度は問題の右側を見に行く。
岩を回り込む。
氷河の出っ張りを回り込んで。
その場所が見えてきた。
なぜ問題か、というと、氷河が対岸にぶつかってしまって湖を切断した形になっているから。
このために数年に1回の氷河大崩壊と、リコ水道の大放流が発生する。
世界中で、いまかいまかとウォッチングしている人たちがいる。
今では氷河と対岸の接合部分を監視カメラで常時撮影している。
以前、大崩壊があったときは、夜中だったので、だれもみていなかった、ということもあったらしい。
大崩壊がなにか人間の生活に影響を及ぼすわけではないので、問題ではないのですけどね。
下の写真はWikipediaに掲載されている航空写真。
Wikipediaだから拝借しても著作権侵害で訴えられることはないと思う。
私たちの乗った船は下の灰色の部分の湖面に浮かんでいる。
氷河が舌のようにベロンと出っ張って、舌の先が対岸にぶつかっているのがわかる。
ここを検証したいと思った。
対岸にぶつかっている場所が見えてくる。
湖がこのためにせき止められて、船のいる側の水面が向こう側より、高くなっているというのだが、向こう側の水面がみえないのでよくわからない。
もっと近づいて。
ぶつかっているところを拡大してみる。
う~ん、なんだかよくわからないね。
氷河が崩れて粉砕した破片が陸地に積もっているようだ。
氷河は押されて陸地に這い上がる形になっているのかな。
全体からみると、陸地との接点あたりの氷河はてっぺんがせりあがっているように見える。
雨も激しくなってきて、カメラのレンズに水滴があたりはじめた。
これで船からの見学は終わり。
レストランにいく途中からみえたアルヘンティーナ湖には、ペリトモレノ氷河から落下してきた氷河の破片が漂っていた。
氷河は破片になってしまってもその青さをとどめていて美しい。
水になって解けてしまっても、なお青さを保っている。
周りの新緑との対比が美しいはずだが、お天気がよくなかった。
ペリトモレノ氷河の氷が岩に落下して飛散 [パタゴニア]
船からペリトモレノ氷河を見学した後は、昼食。
このあたりにただ1軒しかない、レストランは、山小屋風。
お土産屋も兼ねている。
ここ以外に付近に建物はない。
レストランの従業員が住むような建物も見当たらないから、カラファテからペリトモレノ氷河まで通勤していると思われる。
昨夜、夜中の12時にホテルに着いて、パンとコーヒーの朝食は食べたものの、まともな食事は、アルゼンチン到着後、はじめてだ。
いきなり牛のステーキが出てくる。
それもあばらの部分で骨付き。
その他に、野菜のスープとパンと、デザートにムースが出た。
アルゼンチンでは主食が牛か、羊の肉。
肉は、思いのほか、大変おいしかった。
日本の肉のように霜降りではなくて、赤身ばかり、だけど、やわらかくて、歯ごたえも残っている。
噛めば噛むほど味が出る、という感じ。
さて、食事の後は、また氷河観光。
今度は、氷河の対岸にある展望台から眺める。
この地図は、アルゼンチンの観光用サイトから拝借した。
上に氷河が流れてきていて、真ん中はアルヘンティーナ湖に続く水道になっている。
下は展望台や遊歩道のある陸地。
その展望台まで、歩いていく。
茶色のしるしは、展望のためのスペースをとってある場所だと思う。
この地図では、氷河は対岸には達していないが、現在、対岸に衝突しているという。
レストランは小高い山の上にあるので、遊歩道に沿って降りていく。
途中の景色は、新緑がみずみずしい。
少し氷河が見えてきた。
中腹にある展望ポイントが見えてきた。
お天気が悪いせいか、だれもいない。
遊歩道はきれいに整備されている。
赤いノートラの花が満開で、本当にきれいだ。
氷河の右側。
氷河の左側。
ここは、午前中に船でみたところ、リコ水道だ。
氷河とこちら側の陸地が確かにくっついている。
まだまだ遊歩道を降りていく。
雨が降ってきて、カメラレンズにくっついてきた。
風がきついので、傘はさしていられない。
あらかじめ、雨用のズボンと上着を着ているから問題はないのだけど、一眼レフカメラが濡れてくる。
歩いていると、ときどき氷河のくずれる大音響が響き渡る。
遠くてみえないことも多いのだが、近くで崩れた氷河をかろうじてカメラに撮った。
といってもかんじんの大きな塊が落下した後だったので、その余波の小さい氷の流れだけ。
ちょうど、氷河が対岸に激突している場所で、おきたので、落下した氷が、岩にぶちあたり、氷が砕けて四方に飛散していった。
写真は、その後の小さい氷が流れているところ。
氷河が陸地に衝突しているために、湖は2分されてしまっていて、向こう側のリコ水道は出口がなくなり、水位が2m上昇してしまっている、というのだが、この写真をみてもあまり水位の差は感じられない。
氷河の高さは、このぶつかっているところでは、60mくらいあるそうだから、2mの水位差は写真ではわからなくても仕方が無い。
それにしても、陸地にぶつかっているところは、氷河も土を削って持ち上げて黒くなってしまている。
岩と氷のせめぎあいの凄まじい様子がうかがえる。
下の写真はさらにその後、流れが落ち着いてきた様子。