湖畔の町ハルシュタット [チロル・ドロミテ]
ハルシュタット湖が見えてきた。
湖畔の町、ハルシュタットでお昼を食べることになっている。
町のはずれでバスを降りる。
町の中には大型バスは入れないようだ。
ここで記念写真を。
湖の岸に沿って歩いていく。
湖に向かって山が切り立っているので、家も上に伸びている。
だから、上を見上げながら歩くことになる。
家の窓からこぼれる花が、いちだんときれいだ。
バルコニーからおじさんが身を乗り出しているのも絵になるネ。
レストランではニジマスが顔もついて出てきた。
こういうのはヨーロッパではめずらしいように思う。
デザートのアップルパイがおいしかった。
レストランを出るときにふとみると、モーツアルトさんが座っていて驚いた。
背もたれがモーツアルトの像になっていたのだった。
ハルシュタットはザルツブルグにも近いし、モーツアルトのお母さんのふるさとのザンクトギルゲンは、ここからも近い。お父さんもすぐ近くのヴォルフガング湖の出身だ。
ハルシュタットは、世界で最も美しい湖畔の町、、とうたわれる。
ユネスコの世界遺産にも登録されている。
だからヨーロッパ中から観光客が来るのだろう。
それに、今日は、土曜日で休日だし、お天気がいい、ときているから、ハルシュタットの小さな町は、人であふれている。
もっとも世界遺産としては、ハルシュタットを含めてザルツカンマーグート一帯として認められている。
そこには、ハプスブルグ家の温泉保養地であるバートイシュルや、サウンドオブミュージックの舞台となった湖が点在する場所まで含まれている。
このあたりが町の中心なんだろう。
このおうち、1本の木が壁に張り付いている。
木をよくみると、なんとりんごがぶらさがっている。もちろん本物。
バルコニーにぶらさげたゼラニュームの花がまるで、りんごの木の花のように見える。
しばし見とれてしまった。
上を見ながら歩いても、車がないから安全だ。
だけど、自転車の人がいる。
でもこういう場所で自転車はあまり役にたちませんね。
狭いところなので、歩いて用を足せる。
おじさんもどうしたものかと思案顔。
湖を泳いで渡っている人たちがいた。
遠泳教室みたいな雰囲気だ。
子どもたちの遊ぶお砂場もある。
また広場にもどって、・・・
路地をすり抜けて・・・
左のお店は、木工をしていて、その場で売っている。
ブッドレアにとまったちょうちょ。
軽井沢でみたブッドレアにもちょうちょがとまっていた。
湖畔のレストランの木蔭も休日を楽しむ人がいっぱい。
中国風の飾りは、ちょっと変だ。
こぎれいなお店とか、しゃれたブティックとか並んでいるけど、入らなかった。
この町は、ハイキングや、サイクリングの拠点にする町なんだろう。
湖に船を引きこむ家がぽっかりと口をあけている。
狭い土地にびっしりと並んだ家。
白い、野生に近いブッドレアが青空に映えていた。
ザルツカンマーグート再び [チロル・ドロミテ]
ハルシュタットでお昼を食べてのんびりと散策を楽しんだあとは、ザルツブルグで、旅行最後の夜を過ごすことになっている。
バスは、バートイシュルからヴォルフガング湖を通って、ザルツブルグに抜けるはず。
と思いながら、バートイシュルの温泉街はどこなのか、注意していたが、幹線道路を走っているためか、わからなかった。
前回、ヴァルフガング湖までやってきたとき、雨だったら、ケーブルで山にいかないで、バートイシュルの温泉で泳ごう、と同行の友人とはなしていたが、結局、そのときはいかないままだった。
その友人に、この記事を書く2日前に楽器店でばったりと出くわした。
そうしたら、その友人は、先月、バートイシュルの温泉に行ったと言っていた。
そうそう、ザルツブルグのモーツアルテウムで弾いてみない?と誘われていたんだっけ。私は行かなかったけど。
ハルシュタットも含めてバートイシュルの温泉、ヴォルフガング湖をはじめとするいくつもの湖など、このあたりはザルツカンマーグートと呼ばれてユネスコ世界遺産にも認定されている景勝地だ。
ザルツとはソルト、つまり塩だ。
塩は紀元以前より、通貨並みの価値を持っている。
だからザルツカンマーグートは、ハプスブルグ家の保養地としてだけでなく、大切な打ち出の小づちでもあったわけだ。
さて、バスからは、ヴォルフガング湖が見えるようになった。
以前泊まった白馬亭が教会の下に見える。なつかしいなぁ。
以前の記事はこちら。
http://violine.blog.so-net.ne.jp/2011-08-13
ヴォルフガングの付け根に、モーツアルトのお母さんのふるさと、ザンクトギルゲンがある。
以前来たときは、そこからロープウェイで、ツヴェルファーホルンまで行った。そのときの記事はここ。
http://violine.blog.so-net.ne.jp/2011-08-18
そのロープウェイが見える。
パラ・ハンググライダーまで飛んでいる。
シャーフベルク山頂も今日はくっきりと見える。
以前は、雨の中、登山鉄道で山頂まで行き、なんにも見えなかったのだった。そのときの記事はここ。
http://violine.blog.so-net.ne.jp/2011-08-17
さて、バスは、ザンクトギルゲンの町とヴォルフガング湖にお別れして、ザルツブルグをめざす。
指揮者カラヤンの生家 [チロル・ドロミテ]
ザルツブルグに到着した。添乗員さんが、夕食をとるレストランまで連れて行ってくれることになっている。それから夕食までがフリータイムとなる。だけど1時間くらいしかない。
まずは、ミラベル庭園を通り抜けながら案内してくれる。遠くにホーエンザルツブルグ城塞が見える。
ピンクのベゴニアの色がいい。
庭園の高いところに上ると、ペガサスの噴水を中心にした庭園が一望のもとになる。反対側は、ばら園になっていて、ちょうど満開だった。
ホーエンザルツブルグ城塞の記念写真を。今回もあそこには行けないなぁ、と思っていたのだが、なんとツアー仲間であそこまで往復した人がいた。
日差しが強くて暑いので、木蔭を探し求めて歩く。今日は、氷河もあったグロースグロックナーから、避暑地のザルツカンマーグートを通ってきたのだ。暑さがこたえる。
観光客もみんな木蔭のベンチで休んでいる。
ミラベル庭園の出口には、ギリシャ神話に基づいた彫像が向かい合って建っている。なんだか、じゃんけんをしているみたいだ。
ミラベル庭園を出るとすぐにマリオネット劇場がある。以前、来たときは、ここで「サウンドオブミュージック」を見た。その時の記事はここ。
http://violine.blog.so-net.ne.jp/2011-08-21
さらに旧市街に向けて、橋を渡ろうとしたとき、指揮者カラヤンの生家だと添乗員さんが教えてくれた。ひぇ~~、以前来たとき、さがしたのよ~。
本当だ、カラヤンの彫像が建っている。
カラヤンもモーツアルトのお膝元で生まれ育ったのは、聞いていたが、こうして、ザルツブルグのど真ん中の大きな家をみていると、モーツアルトの影響を多大に受けたに違いないことがひしひしと伝わってくる。
カラヤンというと、ベルリンフィルを思い浮かべるので、ドイツの機械のような正確で非の打ち所のないようなイメージを持ってしまう。作曲家でいうとベートーベン風かなぁ。オーストリーあるいはウィーン風というか、そんなところは感じられなかった。事実、今までテレビやCDで聞いたカラヤンの指揮は、猛烈なスピードで疾走するように感じた。
だが、ザルツブルグのこの彫像を見ると、そういう見方だけではとらえきれないことが、わかってくる。モーツアルトの町で生まれ育ち、モーツアルテウムで学んだということが、カラヤンの基盤なのだ。
日本人で初めてベルリンフィルに入団したヴィオラの土屋邦雄さんは、今も年1回、お里帰りのときに、オーケストラの指導をしてくれる。モーツアルトの交響曲などの演奏指導をしてくれるのだ。
で、私Adaも、毎年楽しみで参加している。
土屋さん(先生というと怒られる)ご自身のボーイング、フィンガリングの書き込まれた楽譜をもとに演奏していくのだが、そのボーイングや指使いが実におもしろい。へ~、ベルリンフィルはこんなボーイングで弾くのねぇ、なるほどねぇ~、という驚きがあちこちで生まれる。
しかもモーツアルトの弾き方が、今まで日本の指揮者から教わったのとはまったく異なる。音をあまり切らないでのびのびと弾くので優雅に聞こえる。へ~、モーツアルトの楽譜からこういう音楽が生まれるのねぇ、という思いがけない発見をすることになる。
その土屋さんは、40年間ベルリンフィルに在籍し、カラヤンの指揮で弾いていたのだ。カラヤンもこうしていた、ということを何度かおっしゃっていた。だが、土屋さんのおっしゃるカラヤンと優雅なモーツアルトがどうしても結びつかなかった。
ところが、ザルツブルグの生家と彫像を見ていると、そこの疑問が氷解した。カラヤンがモーツアルトを正しく理解しないわけがない。カラヤンが生まれた時からモーツアルトは空気のようにそばにいたんだから。カラヤンと優雅なモーツアルトがはじめてひとつになった。
その土屋さん指揮の私たちの演奏会に、なんと小澤征爾さんが聞きに来られたことがあった。土屋さんと小澤征爾さんとは、なかよしなんだそうだ。モーツアルトを小澤さんからほめてもらったと、土屋さんが打ち上げの席ではなしていた。もっとも、オーケストラは私たちアマチュアなのだけど。
カラヤンやモーツアルトに対する理解が不足していることを痛感する。
さて、カラヤンの生家があるのは、新市街のザルツァッハ川沿い。
これから橋を渡って、向こうに見える旧市街に歩いていく。
歩いて5分ほどのところにはモーツアルトの生家がある。