マサイマラの夜明けは輝いていた [ケニア・タンザニア]
2011年1月21日
ケニア滞在の二日目はマサイマラ動物保護区で迎えた。
朝食の前に、動物を見に出かける。外はまだ暗い。
車で走っているうちに日の出を迎えた。
草原は、朝の期待に満ちて、赤く染まっていた。
ヌーの小さい集団も朝の光を浴びていた。ヌーの大集団は、セレンゲティにいる。ここに残っているのは、なんらかの理由で、大集団に入らなかったのだ。一匹だけの単独のヌーは病気だったりして、まもなくライオンなどの餌食になってしまうらしい。小さくても集団でいることはいいことだ。
だんだん日が昇ってくる。インパラのメスたちが集まっている。これから食事にいくのかな。
カンムリ鶴が2羽いる。つがいだろうか。
セグロジャッカルも朝日の長い影を残して、走っている。とても元気だ。
いつもそそくさと逃げてしまうホロホロ鳥のうちの1羽がなぜか逃げるのを忘れていたので、大写しにした。なかなかおしゃれですなぁ。しかし、ダイエットが必要かもしれませぬ。
どこにでもいるトムソンガゼルが飛び跳ねている。
なんて、気持ちのいい朝だろう。自分が人間であることを忘れてしまう。
昨日の夕方のスコールのおかげか、池にもたっぷりと水がある。
あっ!! ディクディクだ。トムソンガゼルの半分ほどしかない小さい動物で、気も小さいらしく、車が通ると、一目散に逃げてしまう。カメラに収めるのは至難の技なのだ。またぼけてしまった。
昨日もご挨拶してくれたトピが、今日は子連れだ。お母さんとおんなじ格好してますね。後ろに黒いダチョウが3羽いるよ。
少しはずれたトピはまた後ろ足で頭をかいていた。昨日とおんなじだ。またなにか恥かしいことしちゃったのかな。ダチョウがみてるよ。
マサイマラのダチョウのメスは灰色、オスは黒ですって。メスはかっこいいですね。首をしゃんと伸ばして、自信にあふれています。オスはうなだれて、どうしたのかな。
ダチョウに限らないんだけど、メスのほうが、管理能力はあるのよね。オスは猪突猛進はできるのだけど、方向転換がへたくそでねぇ。「男の面子にかけてガンバリマス」なんて、なに勘違いしているんでしょう。
だいたい、「男の面子」ってぇ言葉、あれ、よくないですねぇ。思考能力を低下させます。
男の面子にかけて、やってみせるったって、状況の変化を読まなきゃぁねぇ。本質に迫る問題解決をしていれば、男の面子なんて関係ないのにねぇ。
さてさて、次にみたのは、なんとなんとチータの親子。
チーターの親子がいた [ケニア・タンザニア]
マサイマラの朝8時ころ、大草原の見晴らしのいいところにチーターの親子がいた。
ひそひそ声での大騒ぎが始まった。なにしろ、生まれてこのかた、動物園でもチーターはみたことがなかったのだ。はじめまして。
なんてかっこいいんだろう。みるからにしなやかな体つき。
子供2匹が同じしぐさであたりを見回している。
親とは、少し離れて、こどもどうしがくっついているのも可愛いい。この距離感は絶妙だ。
運転手さんが気を利かせて車を回りこんでくれた。車は大草原の中で、決められた道を走行しなくてはならない。法律で決められているらしい。草の中に車が入っていくのは違反になる。車から人が降りるのも、決められた安全な場所でしか、降りてはいけない。だから、車の天井の窓から首を出して、カメラを向ける。
もう、何枚チーターを撮ったことだろう。どの写真も捨てることができなくて、内臓ディスクの相当な領域に収まっている。
チーターは、母親一人で子どもを育てる。父親はどうしているんだろう。
経済力があれば、母親一人で子どもを育てることができる。チーターも生活圏を確保し、食事を子どもたちに与えるだけの経済力を持っている。実に経済力は偉大だ。
さてさて、朝食前、1時間半ほど、大草原で動物たちを見たのち、ロッジに戻る。
ナクル湖のロッジも良かったが、ここマサイマラのロッジも気持ちがいい。土地の傾斜にそって、階段状に建物が配置されている。
お部屋はこんな感じ。
1軒ずつの戸建てになっていて、階段をあがったところに部屋がある。
メインロビーから外をみる。
階段を下りると・・
こういうテラスや、プールがある。とてもぜいたくな雰囲気だ。
メインロビーのシャンデリアは、ヤシの実をくりぬいたものを使っていた。電球の傘の1個ずつが全部不ぞろいなのが、なかなかしゃれている。
メインロビーから各部屋に行く道に、大きなポインセチアがいくつも植えてあった。
2mくらいの高さなので、下から撮った。我が家のポインセチアも、何年か育てているうちに、こんな姿になっていったけど、枯れてしまった。寒さには弱いのだ。ここは年中、温暖なのだ。
こちらもポインセチア。のびのびしていていいなぁ。だいたい、クリスマスの時期に、寒い国で、ポインセチアの鉢を育てるのは無理がある。無理はよくない。
サボテンに花がついていた。とげもあった。美しいものにはとげがあるのはどこも同じだ。
こちらは、ノウゼンカズラ科カエンカズラ。漢字で書くと火炎蔓。
マサイ族はサバンナの貴族 [ケニア・タンザニア]
朝食の前、2時間ほど草原で動物たちの朝食風景を見た後、ロッジに戻り、朝食。
その後、マサイ族の村まで歩いて出かける。大勢のマサイの男たちが迎えにきてくれた。一緒に30分ほど歩いただろうか。途中で草や木の説明をしてくれる。彼らは片言の英語を話す。観光業向けに英語を特訓しているらしい。
これはモーニンググローリーと呼ばれる草。日本語訳は朝顔ですよね。
花は朝顔そっくりだが、つる状ではなくて、普通の草。この葉っぱは、マサイズティッシュと呼ばれているそうな。マサイのティッシュペーパーだ。実際、これを紙のように使うらしい。
毒矢に塗る毒はこの木から取る、とか、ハブラシは、この木を使う、といって、木の先をブラシ状にナイフで切ってくれたり、マサイと自然のつながりが現在でも緊密であることを感じた。
マサイの男は、今でもほぼ全員が棒を持っている。かつては、槍だったのだが、槍投げも実演してくれた。
一人が槍を投げると、次から次へと、みんなが槍を投げ始めた。
えんえんと槍投げが続く。戦闘意欲は格別に強いのだ。
いつまでたっても終わらないので、ドクターストップならぬ、添乗員ストップがかかった。
村に着くと、子どもたちが集まってきた。
村でも男たちが歓迎の踊りをしてくれる。マサイ族の男の歓迎は、ジャンプだ。みんな次から次へとジャンプしてくれる。その高いこと。
男たちのケープは、家族によって、模様が決まっているそうである。同じ模様のケープを着ているのは、兄弟なんですって。
次は女たちの歓迎の歌と踊り。
火のおこし方の実演も。
木の穴に槍のようなものを差し込んできりきりと回す。と、火花が出るので、それを枯れ木にうつす。
ふうふうと吹いているうちに火がおきる。
この間、1分かそこいら。
木陰で子どもたちがこっちをみている。その向こうに住まいが見える。木に牛糞を貼り付けて作ってある。建物を作るのは女の仕事ですって。
小さな小屋の中には、寝室と食堂がある。建物は小さいのだが、彼らは小さいとは、考えていないようだ。なにしろ、まわりの野原全部が彼らのものなんだから。彼らから見ると、私の東京の家はなんと窮屈なんだろうと思うに違いない。自分で使えるスペースは自分の家しかないのだから。
マサイ族はケニアの人口の1%を占めるにすぎないのに、全世界にその名前を知られるほど有名だ。それはひとえに、自分たちの生活スタイルを変えることを嫌い、独自のスタイルを守っていることによる。
マサイ族の生活は、合理的にできている。食べ物は、肉食中心で、野菜不足になるところを、牛の血を毎朝飲むことで、ビタミン不足をおぎなっている。牛乳は水の代わりにもなっている。
火もすぐに自力でおこせるし、生活用品は自然の草や木を利用する。家は牛糞でできる。
学齢期の子どもは、近くの学校に通っている。学校の建物は、普通の大きな建物だ。これは自分たちだけでは作れないだろう。
マサイ族は、その気位の高さ、戦闘能力の高さ、独自性などにより、サバンナの貴族と言われているそうだが、まったくその通りだと、感じ入った次第。
原発問題では日本の行き過ぎた利便性追求を感じたが、マサイ族のシンプルな生活はひとつのあり方を示していると思った。