マサイ族はサバンナの貴族 [ケニア・タンザニア]
朝食の前、2時間ほど草原で動物たちの朝食風景を見た後、ロッジに戻り、朝食。
その後、マサイ族の村まで歩いて出かける。大勢のマサイの男たちが迎えにきてくれた。一緒に30分ほど歩いただろうか。途中で草や木の説明をしてくれる。彼らは片言の英語を話す。観光業向けに英語を特訓しているらしい。
これはモーニンググローリーと呼ばれる草。日本語訳は朝顔ですよね。
花は朝顔そっくりだが、つる状ではなくて、普通の草。この葉っぱは、マサイズティッシュと呼ばれているそうな。マサイのティッシュペーパーだ。実際、これを紙のように使うらしい。
毒矢に塗る毒はこの木から取る、とか、ハブラシは、この木を使う、といって、木の先をブラシ状にナイフで切ってくれたり、マサイと自然のつながりが現在でも緊密であることを感じた。
マサイの男は、今でもほぼ全員が棒を持っている。かつては、槍だったのだが、槍投げも実演してくれた。
一人が槍を投げると、次から次へと、みんなが槍を投げ始めた。
えんえんと槍投げが続く。戦闘意欲は格別に強いのだ。
いつまでたっても終わらないので、ドクターストップならぬ、添乗員ストップがかかった。
村に着くと、子どもたちが集まってきた。
村でも男たちが歓迎の踊りをしてくれる。マサイ族の男の歓迎は、ジャンプだ。みんな次から次へとジャンプしてくれる。その高いこと。
男たちのケープは、家族によって、模様が決まっているそうである。同じ模様のケープを着ているのは、兄弟なんですって。
次は女たちの歓迎の歌と踊り。
火のおこし方の実演も。
木の穴に槍のようなものを差し込んできりきりと回す。と、火花が出るので、それを枯れ木にうつす。
ふうふうと吹いているうちに火がおきる。
この間、1分かそこいら。
木陰で子どもたちがこっちをみている。その向こうに住まいが見える。木に牛糞を貼り付けて作ってある。建物を作るのは女の仕事ですって。
小さな小屋の中には、寝室と食堂がある。建物は小さいのだが、彼らは小さいとは、考えていないようだ。なにしろ、まわりの野原全部が彼らのものなんだから。彼らから見ると、私の東京の家はなんと窮屈なんだろうと思うに違いない。自分で使えるスペースは自分の家しかないのだから。
マサイ族はケニアの人口の1%を占めるにすぎないのに、全世界にその名前を知られるほど有名だ。それはひとえに、自分たちの生活スタイルを変えることを嫌い、独自のスタイルを守っていることによる。
マサイ族の生活は、合理的にできている。食べ物は、肉食中心で、野菜不足になるところを、牛の血を毎朝飲むことで、ビタミン不足をおぎなっている。牛乳は水の代わりにもなっている。
火もすぐに自力でおこせるし、生活用品は自然の草や木を利用する。家は牛糞でできる。
学齢期の子どもは、近くの学校に通っている。学校の建物は、普通の大きな建物だ。これは自分たちだけでは作れないだろう。
マサイ族は、その気位の高さ、戦闘能力の高さ、独自性などにより、サバンナの貴族と言われているそうだが、まったくその通りだと、感じ入った次第。
原発問題では日本の行き過ぎた利便性追求を感じたが、マサイ族のシンプルな生活はひとつのあり方を示していると思った。
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