最古のハイクロス(ケルト十字)があるモナスターボイス [アイルランド]
5000年前の古墳を見学した後は、ビジターセンターで、展示をみたり、併設のレストランで昼食をとった。
近辺には、このビジターセンター以外、なにも建物がなく、したがって、食事や休憩はビジターセンターでするしかない。
メニューの選択の余地はなく、野菜スープにポテトと野菜と肉を盛ったお皿だった。
おいしくて堪能したのだが、写真を撮り損ねた。
大体、おなかがすいているときは、いつも先に食べてしまう。
ビジターセンターのまわりには、こんな木の実がいろいろ。
上と同じ種類のようだが、
これはブラックベリーかなぁ。
ジャムにするとおいしそう。
日本ではブラックベリーのジャムだなんて、輸入品しかみたことがなく、高くて手が出ないけど、ここアイルランドには、いたるところに見事な実をつけたベリーがたわわになっていて、これだったら、山のようにジャムが自分で作れそう。
これはなんだろう。
花は調べて名前が判明することが多いが、実から、草木の名前を調べるのは、難しい。
大地が緑にあふれているので、季節を忘れてしまうのだが、今は9月、植物はちゃんと実りの季節を守っている。
思いがけず、フクシアをみつけた。
ドイツのフックスさんが名付けた植物なので、てっきり、ドイツの植物だと思っていたのだが、アイルランドのそこかしこでこの花が咲いているのには驚いた。
さて、遅い食事の後は、ニューグレンジの近くにある、最古のケルト十字を見に行く。
十字にまるがついているのは、アイルランド独特で、ハイクロスとか、ケルト十字と呼ばれている。
ここは、モナスターボイスと呼ばれる修道院跡である。
Monasterboyse、とつづられている、その意味は、monastery of Buithe、つまりボイス修道院となる。
monastery は、修道院、Buitheは、聖パトリックの弟子で、ボイス、と発音するらしい。
アイルランドの言葉は英語が基準ではあるものの、ケルト語からきているので、発音や意味がわからないことも多い。
5世紀に、その聖ボイスが建てた修道院ということで、ここは、モナスターボイスと呼ばれている。
敷地に入ると、お墓が並んでいて、その向こうに大きな塔が目に入る。
塔の先端は欠けている。
35mの高さとのこと、中には入れない。
ここの目玉は豪華なハイクロスだ。
10世紀にモイルダ修道院長が建てたので、モイルダのハイクロスと呼ばれている。
アイルランドの現存する最高のハイクロスだそうだ。
全面、彫が入っている。
てっぺんには屋根までついていて、3人の人間が彫られている。
これは3賢人だろうか。
キリスト教徒でないので、絵の意味がいまいちよく理解できない。
1000年ほど前、文字のなかった時代に、キリスト教の教義を民衆に教えるために絵が描かれているそうだ。
この左は、アダムとイブですね、これくらいならわかる。
ハイクロスの横にまわると、絵ではなく、模様が刻まれている。
このぐるぐるの模様は、ニューグレンジでみた5000年前の古墳の模様に似ているではないか。
古墳は、先住民族が造ったが、このハイクロスはそれから4000年を経たのち、ケルト人によって建てられた。
時代も民族も異なるはずの造形物に同じような模様が入っているというのは不思議だ。
ケルト人は先住民族を皆殺しにした、というが、文化は受け継いできたのかしら。
あ、これはケルト模様。
塔の隣には廃墟となった修道院跡。
前のハイクロスより幾分、細いハイクロスも立派。
アイルランドの古いカトリック教会は、度重なるイギリスやバイキングの襲来で、廃墟になっているところが多いが、このように精緻なハイクロスが残っているのは、アイルランドにとって、誇らしいことなんだろう。
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