世界の果てで釣りをする人たち

南米大陸のさらに南の島の、南極まで1000km余りという世界の果てでのハイキングは、これ以上ないというさわやかさにあふれていた。

ラパタイア湾に注ぐラパタイア川をさかのぼってロカ湖まで1時間弱の行程だ。
さかのぼるといっても、日本の川のような急流ではないので、ごく平坦なハイキングコースだ。

歩いていると暑くなるほどの陽気だ。
釣りをしている人をみかけた。
ここではキャッチアンドリリースが原則らしい。 
世界の果ての水辺でのんびりと釣りを楽しむ人がいるとは思わなかった。
そういう時間の過ごし方、いいなぁ。

川に黒首白鳥がいた。
子どもを連れている。
子どもは真っ白。
白鳥の子どもは灰色だというはなしを聞いたことがあるが、黒首白鳥の子どもは白いんだ！

遠くてよく見えないのだが、いつのまにか、子どもが親の背中に乗っている。
どうやって乗せたんだろう。

 

これも川だって！

 

カウケンが何羽もいる。
ここのカクケンはのんびりしていて、人間が傍を通っても逃げていかない。

カウケンは必ずつがいになっているというが、どれとどれがペアなのかはみていてもわからない。

カウケンの妻が死ぬと、まもなく夫も死ぬそうだ。
で、逆にカウケンの夫が死ぬと、どうするか。
妻はすぐに新しい夫をみつけるそうだ。
いいねぇ。

 

このカウケンはちょっときれい。
カウケンは固体によっても種類によっても色のバラエティが多い。
きれいということは、なんにしても得することが多い。
だからといってきれいなカウケンばかり残っていくかというとそうでもないようだから、カウケンの美意識は人間とは違うらしい。

逆さ富士を真似てみたけど。
川なのに水の動きがほとんどないので、景色をよく映しこんでいる。

ここにも釣り師がいた。
こういうところで日がな一日、のんびりと釣りをするなんて、なんと優雅な過ごし方だろう。

ついにハイキングの目的地であるロカ湖に到着した。
ハイキングコースはまだまだずっと続いているし、他のコースも張り巡らされているようだから、何日か滞在したいものだ。

ロカ湖の水辺では若者が、頭を空っぽにしてくつろいでいた。
みなさん、なんと半そでの軽装だ。

カウケンも水辺でじっと座り込んでいた。
カウケンは小さい頭をいっぱいにして、哲学をしていた。
つがいのお相手さんがいないけど、どうしたんだろう。