蒸気機関車「世界の果て号」に乗る [パタゴニア]
12月2日
世界最南端の町、ウシュアイアで朝を迎えた。
朝焼けが気になって、早くに目が覚める。
空が海に映し出されて、空と海が一体になった不思議な光景が広がっている。
手前の海はエンセラーダ湾、空港のある半島の向こうはウシュアイア湾。
エンセラーダ湾とウシュアイア湾との間には、数十メートルほどの細い陸地があるだけなのだが、その細い陸地の先には空港があるので、空港建設のために作った道路なのかもしれない。
少し明るくなってきた。
海の向こうの山々もよく見えていて、お天気はまずまず。
海はビーグル水道、その向こうはチリに属する。
ウシュアイアの港をみると、なんと、大型客船が来ているではないか!
大型客船を拡大してみる。
確かに客船だ。
ウシュアイアは南極大陸まで1000km余りなので、南極観光の客船は、必ずウシュアイアに立ち寄る。
大型客船が来港すると、小さなウシュアイアの町は観光客であふれかえるに違いない。
朝食後は、蒸気機関車に乗って、ハイキング開始地点まで行く。
そして、ロカ湖まで30分ほどのハイキング。
駅の名前は「世界の果て駅」
乗る汽車は「世界の果て号」
駅は観光客であふれていた。
やっぱり、大型客船の客なんだろう。
日本人どころか、東洋人らしき人たちはまったくいない。
蒸気機関車はきれいな色に塗ってある。
赤い汽車、青い汽車、緑の汽車、みているだけで、うきうきしてくる。
ウシュアイアは、19世紀後半にゴールドラッシュのために多くの人たちが移住してきた。
20世紀になって監獄ができて流刑囚が、町づくりや、鉄道建設を行った。
ずいぶん前に、サスペンスだったと思うけど、フェゴ島のことを書いてあったのを読んだことがある。
荒れ狂う海に囲まれた島、強風が吹きすさび、いつも悪天候の島、地の果てまでやってくるのは、生まれ故郷になにかの理由で住めなくなった人だけ。
なぜかそこだけよく記憶に残っていて、いつかフェゴ島にいってみたいものだと思っていた。
人が吹き飛ばされていく世界の果て、吹き飛ばされてやってきた人々を包み込むフェゴ島とはどんなところなんだろうか。
フェゴ島というと、囚人の町、今ではそのことが観光資源になっている。
警官と囚人の服に顔だけのぞかせて、記念写真を撮っているお二人さん。
囚人の服もしましま模様に決まっていたらしい。
世界の果て号の駅員さんは、とっても可愛いおじょうさん。
いよいよ、世界の果て号は、走り始める。
小さな川沿いに蒸気機関車は、走っていく。
馬が放牧されている。野生の馬ではないだろう。
強風がふきすさぶ悪天候の島のはずだったが、今日は、からっと晴れ上がったいいお天気。
風もなく、拍子抜けするほどだ。
ガイドさんがいうには、こういう日は年に数日しかないのだそうだ。
蒸気機関車から見える景色は、のどかな春。
だが、白くなってしまった木の切り株は、昔、囚人たちが、町づくりのために伐採した名残をとどめていて、過去を物語る。
今は観光列車が走っているこの線路も、もともとは、切り出した木を運搬するために作られたものだ。
たんぽぽの咲く野原と小川の景色が続く。
蒸気機関車は、マカレナ滝の駅で、30分ほど停車する。
その間に、近くを散策する。
一面のたんぽぽ。
上に見える建物は駅。
観光客は決められた道を歩く。
よく整備されている。
下の写真の花は、ラ・レオナで買った図鑑によると、Parrilla,英語では、Wild Current。
名前がわかってもそれがなんなのかさっぱりわからない。
だけど、図鑑に載っているパタゴニアの植物だということがわかってうれしい。
これが駅の名前になっているマカレナ滝。
そんなにいうほどの滝でもないが、新緑と水しぶきが、目にしみる。
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