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ハイエナにねらわれたヌーの赤ちゃん [ケニア・タンザニア]

 シマウマやヌーが、ベビーラッシュを迎えているンゴロンゴロ国立公園のクレーターは、朝の輝かしい光に包まれていた。

しかし、なにやら不穏な空気が漂いはじめた。

子連れのヌーが動き始める。 

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ハゲワシが何羽も低空飛行を始める。

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ヌーの集団の中にぽっかりと空いた空間ができた、と思ったら、その真ん中にハイエナがいるではないか。

ヌーの相次ぐ出産で、匂いをかぎつけたようだ。ハゲワシも、ハイエナが戦闘体勢に入ったことを察知したのだ。

写真手前のうずくまっている茶色いのはヌーの子ども。生後、何日かたっている。これくらいになれば、ハイエナから逃げることはできるだろう。

遠くに小さく茶色に見えるのが、ハイエナ。

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ハゲワシはハイエナが捕まえたものを、いち早く、横取りするために待機している。

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生まれたばかりの赤ちゃんがお母さんの後にくっついて走り始めた。ハイエナはどこだろう。ヌーの赤ちゃんをねらいはじめたのは確かだ。

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ヌーのお母さんはスピードを上げる。赤ちゃんも走る、走る。お母さんは振り返りながら走る。

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今年、生まれたばかりのお姉さんヌーも赤ちゃんヌーの後から走る。

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お姉さんヌーが走り抜けてしまって、赤ちゃんヌーは孤立してしまっている。これでは危ない。

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ハイエナが走るのが見えたと思った瞬間、大きなヌーがハイエナの前を横切った。このヌーは、赤ちゃんヌーを救ったのだった。

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ハイエナは、赤ちゃんヌーを見失い、息も切れてしまったとみえて、走るのをやめた。ヌーがみんな、ハイエナをみている。シテヤッタリ。

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肩を落としてしょんぼりしているハイエナ。もともと狩はうまくないのだ。

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ハイエナがすごすごと引き上げていく道は、シマウマやヌーがそれとなく空間を作って、距離をとる。

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ハイエナは孤独だ。だれも相手にしてくれない。

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あ、もう一匹、ハイエナがあらわれた。

そうか、今の狩は、この2匹の連携プレーだったんだ。どうりで、ハイエナの動きがわかりにくかった。

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ハイエナのおこぼれにありつけなかったハゲワシが終結し始めた。

作戦やり直し!!! 「あのハイエナでは戦えない」ケンケンガクガク・・・・

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 その後の2匹のハイエナの会話。

「お姉ちゃん、ヌーの赤ちゃん、取り損ねちゃったね。やっぱりライオンが捕まえたシマウマの残りをもらうほうがよくな~い?」

「そうではありません。自立するには、自分自身で、狩をして生きていく力が必要です。」

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