チロル・ドロミテ最終章 [チロル・ドロミテ]
ザルツブルグのホテルには、暗くなって到着したので、どういうところなのかわからなかったが、翌朝、良く晴れていたので、近くを散歩した。
驚いたことに、大きなメッセ、展示会場の向かいだった。写真はメッセの建物のガラス窓側の一部。
大変立派な展示会場だ。日本の幕張やビッグサイトの展示場の半分強くらいかしら。泊まったホテルは、展示会の関係者向けのホテルだったのだ。そういうところだと、団体客は、扱いなれているし、展示会がないときは、閑散としてしまう。私たちが泊まるのは大歓迎なんだろう。
ザルツブルグがこんなビジネス的な顔を持っていることは今までわからなかった。だが、観光的な要素も持っている町だし、ミュンヘンやウィーンからも近いことを考えると、展示会とか国際会議を開催する場所としては、地の利がある。
まわりをぐるぐると歩いていると、こんな林があった。
蛇や野犬がいると怖いけど、何人かで一緒に小路に入っていった。朝のすがすがしい光が心地よかった。
セージ系の花が咲いていたり、
つり船草の仲間がいたりする。軽井沢のような高原ではみるけど。
展示会の雑踏を逃れて散歩するにはちょうどいい小路だ。あまり手が入っていないところもいい。
林を出て歩いていると、集合住宅のバルコニーにひまわりが咲いていた。これはいいねぇ。
このような場所では、お土産やなどあるはずもない。昨日、ザルツブルグのヒュルストでチョコレートを買っておいてよかった。
さて、いよいよ出発だ。ミュンヘンまでバスで3時間くらいかな。
こういう田園風景ともお別れだ。
幹線は混んでますねぇ。日曜日なんだけど。
こういう風景も、なぜかドイツらしい景色に見えるからおもしろい。オーストリーとドイツの風景の違いはなんなのだろう。一直線の並木道かな。
帰りは、またドーハ経由だ。このルートだとドーハでデーツを買えるから大歓迎だ。今回も大量に買った。これ、健康食品でもあるのだけど、日本で買うと高い。ドーハの空港ではいろいろ加工してあるものも売っているが、なにも手を加えていない素朴なデーツがいいように思う。
アラビアオリックスのマークのカタール航空は良かったが、残念ながら窓際席ではなかった。
これでチロル・ドロミテ旅行記は終わり。
カフェモーツアルト [チロル・ドロミテ]
ザルツブルグでしか買えないというヒュルストの青いザルツブルグ・モーツァルト・クーゲルをお土産に買ったあとは、30分ほどのフリータイムで、町を散策する。
おや、オーストリーの正装をしたご夫婦がいる。パパは半ズボンにズボン釣りがついている。ママはエプロンみたいなのをつけている。サウンドオブミュージックのマリアが結婚式をあげた、モント湖畔のシュティフト教会で、たまたま出くわした現地の人の結婚式でも、女の人たちは、こういうエプロンみたいなのをつけていた。みるからにいい生地で作られていた。
行ってみたいホールの筆頭は、バイロイト祝祭劇場だが、2番目くらいがザルツブルグ祝祭劇場だ。バイロイトでは「ニーベルングの指輪」を見たいと思っている。これはバレンボイムがオペラを引き連れてやってきたときに見たことがある。一生に一度の大贅沢をした。なにしろ、1週間のうちの4日間にわたって毎回1幕ずつやるので、スケジュール調整が大変な上に、チケット代金が半端じゃない。
その後、日本でも年に1幕ずつやるような形で、新国立劇場で取り上げられるようになり見に行ったことがある。で、3度目の正直はぜひバイロイトで、と思う。
その2番目のザルツブルグ祝祭劇場もちらっと見るだけ。今回もまた行けない。岩盤をくりぬいて造ったという大ホールなのだが、外からみるだけでは、そのようなホールがあるとは思えない。1960年にカラヤンのシュトラウスの「バラの騎士」で幕を開けた。カラヤンって音楽だけでなく、ビジネスも強かったのね。ザルツブルグ音楽祭の立役者はカラヤンだったのだ。それ以後、世界中の人々がザルツブルグ音楽祭を見にやってくるので、ザルツブルグはにぎわっている。
いつかザルツブルグに1週間ほど滞在してみたいものだ。ザルツブルグ音楽祭のチケットは、案外とりやすいようだ。
さすが、モーツアルテウムのある町、ザルツブルグだけのことはある。街角で演奏する音が、プロ並み。きっとモーツアルテウムの学生さんなんだろう。小遣い稼ぎで街頭で演奏しているのだ。
馬車もウィーンほどではないが、見かける。アラブ系と思しき方が乗っている。金持ちなんだろうなぁ。
また、ここでも演奏している。お姉さんのバイオリンの上手なこと。日本ではこういうの、みたことがないですね。
散歩しているうちのまたたくまに、空が黒くなり、いきなりのどしゃぶりが襲いかかってきた。
前、来た時と同じパターンなのよ。太陽が照りつけて暑くてしょうがなかったのが、一転してどしゃぶり。まるで熱帯地方のスコールみたいだ。
さて、無事、ツアー最後のディナーにありつけた。
カフェモーツアルトで、まずはビールで乾杯。ドイツやオーストリーはビールがおいしい。
メインディッシュはウィンナーシュニッツェル、日本風に言えばカミカツだと思う。紙のように薄いカツレツ。
デザートのケーキの上には、ト音記号がのっかっている。モーツアルトを名乗るだけのことはある。
カウンターの下にもモーツアルトの肖像がある。ちょっとこれはやりすぎかも・・・。
満腹になって外にでると、まだ雨がふっている。
もう8時をまわっているが、明るさが残っている。ザルツァッハ川を渡って今度は、旧市街から新市街へ戻る。
ミラベル庭園の横の路地で、ツアーのバスが来るのを待った。驚いたことに、前回来たときに泊まったホテルの前だった。バイオリンとスーツケースを持って、このホテルを探してたどりついたのでよく覚えている。
写真右側がそのホテル。個人旅行者向けの小さなホテルだ。
また今回もザルツブルグは泊まるだけになってしまった。また来なければならない。
元祖モーツアルト・クーゲル [チロル・ドロミテ]
チロル・ドロミテの旅行最後の夕食を食べるために、ザルツブルグ旧市街へ向かって歩いていく。
ザルツァッハ川にかかる橋には、鍵がぶらさがっている。
以前来たときには、こんなの、なかった。
さて、旧市街に入っていく。看板がとっても印象的。夕方の5時前ね。
これ、なんの看板かわからない。はさみがあるから理髪店かしら。
模様が中国風。
これはきれいだけど、悪い予感。Mの文字が入っている。
やっぱりね。マクドナルドだった。古い顔をして旧市街の目抜き通りにお店を構えちゃって。
これは傘ね。
さて、カフェモーツアルト、ここが、今晩の夕食を食べるところ。ここでフリータイムになる。
モーツアルトの生家のすぐ近くだ。
オーストリー色の紅白の旗があるところが、モーツアルトの生家で、今はモーツアルト関連の展示をしている。前回来たときに、中をみたので、今回は、時間がなくて割愛する。
ここで、一番にやるべきことは、元祖モーツアルトクーゲルを買うこと。
菓子職人のパウル・ヒュルストという人が1890年に、真ん丸のチョコレートを作り、1905年には、パリの菓子フェアに出品し、金メダルを受賞した。それが、モーツアルト・クーゲルだ。
ところが、モーツアルト・クーゲルの模倣品があちこちで売られている。一番有名な模倣品は、ミラベル社のものだが、これは、もはや模倣品というより、本物の顔をしている。私Adaも前回はミラベル社のモーツアルト・クーゲルをお土産に買った。赤いアルミ箔にモーツアルトの顔を印刷してあり、真ん丸なので、ついつい手が出る。それに、この模倣品はどこでも売っている。
だが、以前、私のお土産をみた友人曰く、「オリジナルは青いのよ」
で、今回はさがしましたよ。青いアルミ箔で包んだ真ん丸のチョコレート。モーツアルトの顔が印刷されている。
青いモーツアルト・クーゲルは、ザルツブルグにあるヒュルストの4つのお店でしか買うことができない。だから、ザルツブルグでしか買うことができない。それが付加価値になっているのだ。
商標権に関しては訴訟があり、ザルツブルグ・モーツアルト・クーゲルという名前は、ヒュルスト社しか使えない。しかし、ミラベル社も「真のモーツアルト・クーゲル」という名前を使っていて、みわけがつかない。モーツアルト・クーゲルの修飾に真の、という言葉を入れているだけらしいけど。商標権がどこまで主張できるのか、なかなか難しい問題らしい。
モーツアルト・クーゲルは真ん丸のチョコレートの中のほうに、ピスタチオの緑とヌガーが入っているのが特徴なのだが、ミラベル社のモーツアルトクーゲルもまったくおんなじだ。レシピについては独占権がないらしい。
レシピを守るにはどうすればいいのだろう。
レシピも独占できず、名前もモーツアルト・クーゲルというのを名前の一部に使われたら、何で勝負するのか、ということになる。結局、ザルツブルグでしか買えない、ということにするしかないのだろう。
レシピやお菓子の名前の紛争では、ザッハートルテが有名だ。オリジナルのザッハートルテを作ったのは、ザッハーだが、結局、デーメルもザッハートルテという名前で売っていいことになった。違いはケーキの上のマークが三角かまるかの違いだけである。人情としては、オリジナルのかたを持つのがふつうだろうけど、デーメルをひいきにする人も多いのはおもしろい現象だと思う。
前回、ザルツブルグに来たときに、たまたまデーメルでザッハートルテを食べた。その記事はここ。http://violine.blog.so-net.ne.jp/2011-08-19
ところが、そのザルツブルグのデーメルのカフェはつぶれたそう。
ウィーンではホテルザッハーのカフェでザッハートルテを食べたけど、味の違いがわからなかった。
クーゲルとは、イディッシュ語で球のことだそうな。イディッシュ語とはドイツ語の方言と書いてあるが、ドイツ語にヘブライ語やスラブ語がまざったものらしい。クーゲルはユダヤ人のデザートや副菜のこと、という説明もあるが、どうも、小麦粉などで丸くしたものをいうらしい。それがどうしてモーツアルトと結びついたのだろう。どうしてベートーベンクーゲルはないのだろう。もしかしたらボンのお土産にあったりして。
モーツアルトクーゲルというのは、もはや一般名詞化しているようで、ミュンヘンやウィーンの空港ではいろんなメーカーのモーツアルトクーゲルが売られている。そのほとんどが、赤いアルミ箔でモーツアルトをプリントしている。ミラベル社のものとそっくりだ。ミラベル社のものでないものも空港で買ったが、それは真ん丸ではなく、底が平らだった。