セレンゲティでヌーの大移動に出くわす [ケニア・タンザニア]
タンザニアのンゴロンゴロ国立公園から、セレンゲティ国立公園に向かう。
セレンゲティ国立公園は、神奈川、埼県、東京都、千葉を合わせた面積に匹敵する大きさだ。
公園の入り口には、比較的早く、到着したものの、ここからが長い。入り口は無人だ。入園手続きのためには、公園事務所にいかねばならない。
公園が広いので、とらえどころがない。どこに動物がいるんだろう、と思っていたら、水平線上にヌーが並んでいた。
写真では2列に見えるが、折れ曲がっているので、1列なのだ。見える限り、どこまでも列が続く。
走っているのが見える。
道路をヌーの行列が横切っているのがみえてきた。
ヌーが疾走しているので、砂埃があがっている。ヌーの列の向こう側に、サファリカーが何台か見えるが、砂煙でぼんやりしている。
こちらの車も、だんだん近づいていく。
車の前をヌーは猛スピードで駆け抜けていく。
いつまで続くんだろう。
サファリカーが通るので、列が曲がると、もとの列に戻るために、ヌーの列もターンをする。
これが、ヌーの大移動なんだ!!!
ヌーは、ちょうどこの時期、セレンゲティの南までくる、とガイドブックに書いてあった。
ケニアのマサイマラ国立公園から、お隣のここ、タンザニアのセレンゲティ国立公園まで、有名な川渡りをしてここまでやってきたのだ。わにに食べられる危険をおかして、この調子で川を渡ってきたんだろう。
水平線からもう一方の水平線まで続くヌーの行列をカメラに収めるのは、とうてい無理なことだ。疾走するスピード、整然とした列、このすごさをどうやってカメラに収めればいいのだろう。
ヌーの生き抜く力に感動しながら、車は、先へ進んでいく。
今度は、メスライオンがいた。そばに、シマウマの死骸があり、内臓がえぐられている。
なんだか、ここは、生きていくための動物たちの必死さを感じるところだ。
公園事務所までくると、小鳥が出迎えてくれてほっとする。ツキノワムクドリかな。どこでもよくみかける。
いよいよセレンゲティの中心部に向かっていくと、岩山があちこちに見えてきた。シマウマものんびりしてきた。
遠くにゾウがたった1頭だけさまよっているのがみえる。どうしたんだろう。
キリンもいる。
お食事中、失礼。
セレンゲティは、広いだけあって、いろいろな面を持っている。
ヒョウの華麗なジャンプ [ケニア・タンザニア]
タンザニアのセレンゲティ国立公園の中心部へと車は走る。天井を開けてサファリカー状態にしておき、動物がいたら、天井から首を出して眺める。道路はもちろん未舗装なので、砂埃がひどい。
サファリの必需品のひとつに、マスクがあげられていたが、納得である。埃避けには必須だ。それに、帽子と帽子の上から綿のマフラーをまいて、飛ばないようにする。帽子も埃避けだ。帽子がないと、風と埃であっというまに、髪がごわごわになる。
さて、ヒョウがいる、というので、あわてて天井から首を出した。遠くの木にヒョウがいた。ヒョウは、木の上で暮らす。夜行性なので、夜、狩に出かける。今の時間は、木の上でお昼寝のはずだ。
アフリカにきて、はじめてのヒョウだ。静かな大騒ぎが始まった。「立ち上がった、子どもがいる、木の枝の間だよ」とひそひそ声が行き来する。
ヒョウは向きを変えた。
と思った瞬間、なんとジャンプ。
飛び移ったところから、登っていく。
立ち止まった。どうしたのかな。
木にダラリンとだっこちゃん状態になってしまった。生まれたばかりのような小さいこどもがあらわれて、お母さんのところにいこうとしている。
そうか、ヒョウがジャンプしたのは、子どものそばに行こうとしたのだ。
こどもが2匹になった。1匹は、これから遊びにでかけるところ。もう1匹は、お母さんのところへ。子どもどこでもじっとしていないですねぇ。
1匹はどんどん下へ降りていく。大丈夫かな。もう一方のこどもとお母さんは、しっぽをだらりんとぶらさげてお座りしているのかな。
このヒョウのいたところは、ここ。
緑の濃いほうの木にヒョウがいる。一見、なにもないように見えるのだけど。
セレンゲティはいろいろな顔を持っている。こんなところもある。
川原でお弁当を開けたくなる場所だが、ここには鰐がいるそうだ。ほら、あそこにいるよ、と言われて、見るのだが、岩と区別がつかない。
ソーセージツリーと名前がついた木もある。
ソーセージそっくりの実がぶらさがっている。
追い出された日本人 [ケニア・タンザニア]
タンザニアのセレンゲティ国立公園は、今回のツアーのハイライトだ。
ここで、とんでもない事件が発生した。今晩の宿泊先であるロッジは、ダブルブッキングのために、泊まれない、かわりにここから車で2時間近くのお隣のロッジに行く、という。
車で移動中にダブルブッキングの連絡が入るなんて、考えられない。泊まる予定だったロッジは、セレンゲティのど真ん中。好立地にある。今回のツアーを企画した日本の旅行会社は、そのロッジのいいお得意さんのはずだ。それに、ダブルブッキングで泊まれないというほど、込み合っているわけではない。緊急に、会議が開かれることになったので、ダブルブッキングになってしまった、という。
それをあえて、移動させる必要性は、なんだろう。状況を冷静にみてみよう。
・ロッジの判断ではなく、政府筋からの差し金ではないか。
・セレンゲティ国立公園のど真ん中で会議はおかしい。
・自然環境保護の会議だというが、そのような主旨の会議が、緊急に開かれるはずがない。
・緊急の会議であれば、空港近くの町で行うだろう。車で数時間もかかるロッジでの会議はへんだ。やっぱり会議ではないだろう。
・タンザニアは希少金属の産地で世界の注目を集めている。
・日本はODA予算のかなりの額をタンザニアのために使っている。
・日本はタンザニアからみても重要なパートナーであるはずだが、日本より魅力的な国がある。
・他にも観光客がいるはずなのに、あえて日本人団体を移動させたがっている。
同じツアー客どうしで、いろいろと考えた末、タンザニアにとって重要な国で、かつ日本にあまり動向をしられたくない国の要人が、タンザニアを訪れ、会議の合間に、タンザニアの誇るセレンゲティをみることになった、という結論に達した。
別のロッジに到着した後わかったことだが、某国の政府要人がタンザニアを訪問中、という記事が載っていたそうだ。私の推理は的中した。国名まで的中だ。だれが考えても的中するだろう。
日本もかつての日の昇る国ではなくなったのだということを痛感した。
さて、そのようなわけで、セレンゲティのはずれにあるロッジに向かうことになった。同じ公園内ではあるものの、遠い。がそれでも一番近いロッジなのだ
夕暮れにさしかかり、セレンゲティは夕食を求める動物たちが野原に出ていた。
グランドガゼルやトムソンガゼルも夕食中。
シマウマも。
ダチョウは家路を急いでいた。
ブチハイエナも家に向かっていた。
だが、私たちの車は、でこぼこ道を走り続ける。
夕日が寂しい。日本は今、こんな感じで見られているのかな。おなかがすくと、人間、悲観的になる。
セレンゲティのはずれにあるロッジに到着したのは、どっぷりと日も暮れた夜7時半だった。
まぁ、とにかくビールでも飲もう。ビールの名前は、セレンゲティとキリマンジャロ。