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ハイリゲンブルートの谷間に響きわたるブラスの音 [チロル・ドロミテ]

ハイリゲンブルートの2日目の夕食は、泊まっているホテルではなくて、ポストホテルで食べるとのことなので、グロースグロックナー眺望ハイキングから戻って休んだのち、ふたたび、出かけた。
ついでに、教会の写真と夕焼けを重ねて撮れないかと思い、小高いところまで歩いていった。
だが、お天気が急変して雨になった。
あっというまに雲が下りてきて、山はまるで墨絵のようになっていく。
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お天気が本当によく変わる。
標高1288mなので、雲も降りやすいのだろう。
どしゃぶりになってしまって、カメラは早々にあきらめ、ポストホテルに向かったが、なんと水晶の噴水の目の前に、そのホテルがあった。
ここが町のど真ん中になるのだ。
わざわざポストホテルでのディナーを用意してくれたのも、買い物の便を考えてくれたのかもしれない。
だが、夜の7時近くで、まだ明るいにもかかわらず、どこのお店も早々と店じまいしてしまっている。
おまけに雨ときているから、広場にはだれもいない。
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ポストホテルというからには、なにか郵便と関係があるのだろう。
日本でいうとかんぽの宿といったところかしら。
入口の取っ手にも馬に乗った郵便屋さんらしき人がポストホルンを吹いている模様になっている。
それに一等地にホテルを持つというのは、なんらかの利権に関係しているからなのね。
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発酵途中のようなビールがおいしい。
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今回は、胃の調子が今一つで、食べる楽しみが減ってしまったが、それでも夕食はおいしくいただけてよかった。
でも、ハイリゲンブルートまできて、グリンピースご飯を食べることもないと思うけど。
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グリンピースご飯は大好物だけど、やはり5月のグリンピースが出回り始めたころに、塩をちょっときかせて炊いたのが、格別だ。お米の質も大切だ。

さて、デザートも食べ終わってほろ酔い加減のころ、窓の外に、楽隊が出てきてなにやら音楽を奏で始めた。いったい、これは、なんなんだ!!
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そそくさと外に飛び出すと、広場の小さな舞台に、ブラスバンドがのって、演奏を始めた。
なぜ、こういうことをしているのか、理解できなかったが、ここは観光地で、観光客へのサービスとして、演奏をしているらしい、ということは、わかった。
音楽もいいけど、いかにもチロリアンらしい洋服がいいではないか、それにチロリアンハットも。
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今度は帽子を脱いだ。
かなりお年を召した方もいる。
これはアマチュアのブラスバンドですね、きっと。
アマチュアだと聴いてくれる人がいればどこにでも出かけていく。
それにしても、こんな山間でこれだけの楽器奏者が夜に集まってくるというのは驚きだ。
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脇には、コーラス舞台と思しき人たちが待機している。
この服装は、チロルの正装ですね。
以前、ザルツカンマーグートの教会で、偶然結婚式をあげている最中に行き会ったことがあったけど、こういう服装をしていた。
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横の柱にこのコンサートの案内があった。
ドイツ語なので、さっぱりわからないが、金曜の夜8時から、毎週コンサートを開いているらしい。
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雨がひどいので、お客さんはそれほど多くはなかった。
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曲と曲の間では、長い長い演説がある。
意味がわかればおもしろいのだろうけど、ドイツ語はさっぱりなので、とうとう途中で切り上げた。
雨の中、ホテルまで歩いて戻ってきたのだった。
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 ところで、ハイリゲンブルートというのは、聖なる血という意味なんだそうだ。
ブルートというのは、英語のブラッドになるのね。
10世紀、聖血を持った旅の騎士が、この地で客死したそうだ。
聖血とは、キリストの血という意味らしいが、なぜ10世紀にキリストの血があるんだろう。
こういう宗教的な言い伝えは、意図的な面が感じられて、あんまり真面目に耳を傾ける気にはなれない。
要するに、キリスト教の布教者が、このあたりの山越えで、遭難したのだろう。
15世紀になってビンツェンツ教会を建て、その伝承をもとに意義付けをしたのだろう。
今でも、この教会が観光の目玉にもなっているから、町のためにもなったし、宗教的な目的も達成されたし、それはそれで結構なことだ。


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コメント 1

めぎ

ポストホテルは、その昔郵便馬車の御者や馬車に同乗してきた旅人が宿をとったところの名残ですね。
郵便馬車は町の中心地に郵便と人を運びましたから、一番いいところに建っているんです。
でも、かんぽの宿のような、ドイツの日本郵政公社が経営している(いた)ところは無いんですよ。
by めぎ (2014-11-23 22:30) 

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