元監獄施設だった博物館 [パタゴニア]
パタゴニア最後の日の朝、海岸沿いに歩いて監獄博物館にやってきた。
近くにあったジムの広告看板がおもしろい。
ペンギンがバーベルをあげたり、自転車こぎをしている。
こういう小さな町でもジムが成り立つのね。
さて、監獄博物館、正確には、「元監獄と船舶博物館」といって、海軍基地の敷地内にある。
入口のところに、囚人が働いている像がいくつか置いてある。
これはやっぱり監獄博物館だ。
中は、昔の監房の建物がそのまま展示室になっている。
長い通路の両脇が監房になっている。
多い時で600人を収容していたそうだ。
天井は、一部吹き抜けになっていて、外から見通しがきくように作られている。
ちょうど、団体の観光客がぞろぞろとやってきて、明るく騒いでいた。
かなり大きな博物館だ。
スペインやイギリスが入ってくる前の原住民の生活の様子や歴史の展示もある。
一番力を入れていると思われるのは、やはり船舶関係の展示だった。
座礁した船の地点、日時、船の名前などが詳細に地図上に記録されていた。
やはりビーグル水道やマゼラン海峡は、船の難所なんだということがわかる。
イギリスが入ってきたときの写真など、古い写真もおびただしい数で展示されている。
悲しいかな、その人名など聞いたこともないような名前ばかりだ。
で、どうしても、こういう人形に目がいってしまう。
これは一人部屋。
こちらの囚人は少し格が下なのかな。2人部屋だ。
博物館の中庭にとっても可愛らしい花が咲いていた。
雑草扱いだったけど、なんだろう。
昔の監獄を博物館にしているのは面白い発想だが、ハノイの昔のホアロー収容所を改装した博物館も監獄の中の様子を展示していたのを思い出した。
ハノイのはもっと悲惨な写真がいっぱいあったように思う。
首枷でつながれた人たち、拷問の道具など。
それに比べると、ここは、労働力を期待して連れてこられた人たちを収容しているので、最低限の生活の保障は確保されていたようだ。
なにしろ、ここ、ウシュアイアは囚人が作った町というコンセプトを観光資源にしているのだから、おもしろい。
この博物館の海洋関係の展示はわかる人がみれば、興味深いのだろう。数も多かった。
近くに「世界の果て博物館」もあったので、立ち寄ってみた。
そちらは、展示スペースが小さく、見てわかる展示物があまりなかった。
文書が結構あるらしい。
鳥に関しては、はく製も使って、詳しく展示されていた。
最果ての町で、のんびりとしているうちに集合時間が近づいてしまった。
気ままに過ごしていると、あっというまに時がたつ。
ホテルへの道は、真ん中のにぎやかな通りをウィンドーショッピングしながら歩くことにする。
通りを一歩抜けると、すぐに住宅地があるのだが、その住宅地にはいろいろな花が咲いていて、ショッピングよりもおもしろかった。
多いのはエニシダ。
日本でもよく見かけるが、こちらのは、大変元気だ。土地にあっているんだろう。
それに、色のバラエティが素晴らしい。
こういうオレンジ系。
パイネにも多く咲いていた、真ん中だけ赤いのや・・
なんとも優雅なピンク系まである。
こういうエニシダは初めてみた。
もしかしてエニシダではないのかしら。
日本にもってきたら、売れること間違いなしだ。
住宅地の庭に咲いていた花。
なんとシャクヤクまで育てていて、満開だった。
東洋の花だと思っていたのだけど。
これは道端に咲いていた雑草。
図鑑のCadilloに似ている。英語ではstick tight. なんだかくっつき虫みたいだ。
観光客が歩く通りは、海岸と並行しているが、海岸から山の方向に向かう道は、結構、急な上り坂になっていて、すぐに町はずれになっている。
観光客向けのお店が多い中で、子供用の靴を売っているお店があった。
靴の並べ方がランダムになっていて、興味をそそるし、色がきれいなので、ついつい買いたくなる。
大きい通り、といっても狭い道なんだけど、2階建てのバスが走っていたので、思わずシャッターを切った。ウシュアイアと書いてあるので、地元の観光バスかもしれない。
これが目抜き通り。
とうとう、飛行機の飛び立つ時間になってしまった。
珍しいことらしいが、定刻に出発した。
空港から、ビーグル水道とその向こうの、チリのナバリノ島の山々が見えた。
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